「小規模宅地等の特例」とは
相続に関するご相談で、よく尋ねられるのが相続税に関するお話です。相続税に関しての具体的なご相談は税理士の先生にお願いするしかないのですが、一般的な知識として知っておくと便利なものに「小規模宅地等の特例」というものがあります。
小規模宅地等の特例とは簡単にいえば、「被相続人(亡くなった方)が住んでいた土地、事業を行っていた土地、貸していた土地については、相続人が一定の条件に当てはまる場合にはその価額を最大80%減額した上で相続税を計算する」というものです。
この記事ではまず、一般的に一番多いと思われる住宅用の土地に関することに絞って説明していきたいと思います。事業を行っていた土地や貸していた土地については別記事にて説明する予定です。なお、この記事は下記の国税庁のホームページにある記事の内容をなるべく分かりやすく説明しようとするものです。
※よくある税の質問/相続税/No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
小規模宅地等の特例が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。
1.特定居住用宅地等に該当すること
この条件を満たすためには、被相続人がその土地に住んでいたか、亡くなった人と生計を一つにしていた親族が住んでいた必要があります。
このうち、被相続人が住んでいたというケースでは難しいことはないように思われがちですが、例えば被相続人が介護の必要から施設に入所していた場合等で問題になることがあります。
また生計を一つにしていた親族については通常同居しているケースが多いと思われますが、何らかの事情があり被相続人と別居していた子供が被相続人所有のビル・マンション等の一室に仕送りを受けながら住んでいたような場合に問題となります。
2.取得者が以下の条件に該当すること
a.被相続人が住んでいた土地の場合には、配偶者・同居の親族・いわゆる「家なき子」であること
b.生計を一つにしていた親族が住んでいた土地の場合には、配偶者・生計を一つにしていた親族であること
このうち「家なき子」については、以下の全てに当てはまることが必要となります。
①相続開始時に日本国内に住所がなく、かつ相続開始前10年以内に日本国内に住所がなかった人で日本国籍を有すること
②被相続人に配偶者がいないこと
③被相続人と同居している法定相続人がいないこと
④相続開始前3年以内に、土地を相続する人、その配偶者、相続する人の三親等内の親族、相続する人と特別の関係にある法人が所有する家屋に居住していないこと
⑤相続開始時に、相続する人が住んでいる家屋をそれまでに一度も所有していたことがないこと
⑥相続する宅地等を、相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
特に重要なのが②~⑤であり、また④が「家なき子」と呼ばれる由来でもあります。
3.申告期限における所有の継続
原則として、相続税の申告期限まで被相続人が住んでいた土地の所有・居住を継続する必要があります。ただし、被相続人の配偶者についてはこの限りではありません。
以上、1~3の全ての条件を満たした場合のみ、小規模宅地等の特例が適用されます。なお、適用される面積は330㎡(100坪)まで、また減額される割合は80%です。
いかがでしょうか。国税庁のホームページよりは多少なりともかみ砕いたつもりですので、内容の理解に少しでもお役に立てたなら幸いです。