遺留分について (1/23 補足記事へのリンクを追加しました)

遺言や相続の話題に関連して、「遺留分」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。でも「遺留分ってなあに?」と聞かれた時に、正しいイメージが頭の中に思い浮かぶ人は決して多くないのが現実のようです。そこで今回は「遺留分」という言葉について触れたいと思います。

◆遺留分とは何か

遺留分とは、一定の相続人に認められている、被相続人の意思によっても奪い得ない相続分(この点につき、補足する記事を書きました)のことを指します。
例えば夫が死亡し妻と子供一人が残された場合に、「全財産を子供に譲る」旨の遺言書があったとしても妻には遺留分が認められるため、子供が遺産を独占することはできません。

◆遺留分を主張出来るのは誰か

遺留分が認められる一定の相続人とは、兄弟姉妹以外の法定相続人(配偶者、子、 直系尊属 )のことです(民法1042条)。これらの相続人(遺留分権利者)には胎児代襲相続人 も含まれます。

◆遺留分の割合

遺留分の計算方法は次の通りです。
まず遺留分全体の合計は
直系尊属 のみが相続人である場合→相続財産の1/3
それ以外の場合→相続財産の1/2
と民法1042条で規定されています。
あとはこれを法定相続分の割合に応じて計算します。具体例をいくつか挙げると、以下のようになります。

相続人遺留分の割合
※()内は相続財産が3000万円だった場合の遺留分
各相続人の遺留分
配偶者子供1子供2父母兄弟
配偶者のみ1/2
(1500万円)
1/2
(1500万円)
配偶者と子供一人1/2
(1500万円)
1/4
(750万円)
1/4
(750万円)
配偶者と子供二人1/2
(1500万円)
1/4
(750万円)
1/8
(375万円)
1/8
(375万円)
子供のみ1/2
(1500万円)
1/4
(750万円)
1/4
(750万円)
配偶者と父母1/2
(1500万円)
1/3
(1000万円)
1/6
(500万円)
父母のみ1/3
(1000万円)
1/3
(1000万円)
配偶者と兄弟1/2
(1500万円)
1/2
(1500万円)

以上が遺留分についての基本的な話になります。もっとも遺留分が問題となるのは相続財産について争いが生じている場面であると言ってよく、楽しい場面ではないというのが実際のところです。せっかく遺言書を書いたり終活をしたりするなら、そうならないようにするためにはどうしたらいいだろうかという視点を持つことも大切なことではないか、ということも心に留めておいてもらえれば、と思います。